動物の中でも、人の住環境に入り込んでその生活一般や衛生面などで被害をもたらすものを害獣と呼び、そのような動物が住宅や地域の中に現れた際には害獣駆除が行われる。
その動物を捕獲したり追い出したり、殺したりして排除するのが害獣駆除の内容だが、よほど捕獲や追い出しが難しいという場合でなければ、害獣駆除を行う段階で動物を殺すことは行われない。
後に述べるが、捕獲や追い出しの方法にはいくつかの種類があり、個人住宅の害獣駆除のために個人で扱うことが出来る道具などもあるが、物によっては駆除を専門とする業者によってしか扱うことが出来ないものもある。
また、鳥獣保護法で保護されている害獣に関しては、たとえ被害を受けていたとしても個人で勝手に駆除作業を行うことは出来ず、役所への申請が必要になる。
害獣駆除を行うための方法には、いくつかのものがある。
たとえば個人で手軽に手に入れることが出来る道具を使ったものに、「忌避剤による追い出し」がある。
忌避剤とは動物にとっては不快な臭いを発する成分を含んだ薬剤である。その薬剤を、害獣が出現する付近に置くと害獣を遠ざける働きがある。
固形物を設置するタイプのもの、スプレーで散布するタイプのもの、塗布するタイプのクリーム状の忌避剤なども存在する。
忌避剤の他には、ネズミ駆除などで使われる捕獲罠などがある。囮の餌を置いて害獣をおびき寄せ、害獣がそれを食べようとすると動いて捕獲するというのが一般的な形である。
鳥獣保護法では害獣といえども動物に身体的な危害をむやみに加えることは禁じられているが、忌避剤の使用は「身体的な危害」には当たらないので、許可がなくても設置や散布などが可能である。
それに対して罠などは、害獣を殺傷するおそれがあるため設置に際しては許可が必要である。
ハクビシン駆除やイタチ駆除などを行おうとする場合には、市役所などに事前に申し出なければならない。
害獣駆除に関しては、役所や専門業者による駆除サービスを受けることが出来る。
個人の手に余るような中型・大型の害獣を駆除することは、行政の役割でもある。山間の地域などに現れるクマやイノシシなどといった動物は、農作物に被害を与えたり人に危害を加えるおそれがある。
市民生活を脅かすそれらの害獣は、行政の委託を受けたハンターや駆除を専門とする業者がこれを駆除するのである。
そのほかにも、個人住宅に現れた害獣の駆除を役所に申し出ることで、行政がサービスとして引き受ける場合もある。
また民間の駆除業者に依頼して、個人で行うよりも専門的な対策(薬剤散布や罠の使用)によって害獣を駆除するというサービスを受けることが出来るのである。